福寿鯨 山﨑 晴太郎
『福寿鯨』シリーズは、フランツが日本初出店 した恵比寿の源流を現代的に表現している。白 と黒の墨絵で描かれた鯨は伝統的でありながら も、その形状はミニマルで、余韻を含んでいる。
山﨑 晴太郎
S e i t a r o D e s i g n , i n c .代表、アートディレクター、デザイナー横浜出身。グラフィックデザインを中心に、WEB・空間・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションを幅
広く手がける。その他コンセプチュアルな実験的プロジェクトも多数展開。Tokyo Culture Magazine 『Apart03』アートディレクター。
N Y A D C 会員、J A G D A 会員、T D C 会員。主な受賞歴は、D e s i g n F o r A s i a A w a r d 、IF Packaging Design Award 他。
クラフトマンシップに支えられ た、F R A N Z の伝統的で独創的 な技術を用いて、日本人の住居 にもなじむようなシンプルな形状 のシリーズを作りたいと思った
海よりいずる鯨、福をもたらす
七福神のエビスは釣竿を持ち、鯛を抱えた福々しい姿の福神である。 漁村では、大漁をもたらす神として、海岸や岬の祠に祀られる ことが多く、鯨・鮫・イルカや海中から拾いあげた石、海岸に流 れついたものをエビスと呼んで祀ってきた。海の彼方に常世の 国(ユートピア)があるとされ、海から来る神霊が大漁をもたら すと考えられたからである。また、実際に寄り鯨( 座礁鯨)は思 わぬ副収入で地域を潤し、飢饉を救ったという話が数多くあり、 「鯨寄れば 七浦潤す」などといわれた。漁業の神様、豊漁を もたらす海神としての鯨がエビスとなり、七福神となったのだ。